過ぎたるは及ばざるが如し
世界中で潜在的な患者数が一番多いと言われている病はなんだと思いますか?
メディアでも◯◯依存症という言葉を多く目にすることが増えましたが、潜在的な患者数が世界一多いのが依存症といわれています。今年なにかと話題になったギャンブル依存症やアルコール依存症、薬物依存症など、その種類は多岐にわたりこれに苦しむ現代人はかなりの人数存在するとみられています。そもそもなぜ依存症になるのか?それは人間の脳の構造による部分が大きいと私は思います。
人間の脳には「報酬系」と呼ばれる神経回路が存在し、これによって生存に必要な本能的行動を続けるようにできています。例えば、飲まず食わずでものすごい空腹の時に食べたものはとても美味しく感じるはずです。この時脳からはドーパミンという快感を感じる神経伝達物質が出ていてこれが、また美味しい食事を食べたいというモチベーションにつながり飢餓状態に陥らないように導いているのです。
ギャンブル依存症は賭けに勝った時に脳内でドーパミンが分泌されます。この快感を味わいたいがためにどんどんギャンブルにハマって抜け出せなくなります。最初は少額で賭けていたのに同じ額の賭けで得られるドーパミンの刺激に慣れてきてしまうと賭ける額が高くなっていき、家族を巻き込んでのトラブルにまで発展することもあります。そのくらいドーパミンの快感は強いのです。
買い物依存症もショーケースにある商品を見て「欲しい欲しい」と思ってやっと買った時の高揚感はドーパミンによるものです。そして、自分のものになった瞬間から箱も開けずに家に放置していることもあり、本当に欲しいのではなく買った時の快感を味わいたいだけだったりします。
この説明だけだとドーパミンが諸悪の根源のように思うかもしれませんが、仕事で重要なプレゼンを頑張って準備し、それを成功させて商談が成立した時やフルマラソンを完走した時、なにかの競技でチームメイトと目標を達成した時などの達成感もこれによる清々しさなのです。
目標に向かって努力するモチベーションをドーパミンは与えてくれますが、ギャンブルや買い物、アルコールで得られる快感は求めれば求めるほどキリがなく自分が苦しくなります。これを事前に理解して、ブレーキをかけられるかどうかで結果は全く変わるのです。まさに過ぎたるは及ばざるが如し。
自分の勉強や仕事への情熱、スキルの上達に上手くドーパミンを使えるようになるとQOLが上がっていくのを実感できるはずです。